その日、正確に言えばその前夜からずっと車を走らせていた。平均速度100kmで、バンコクからすでに800Kmほどになろうかという頃だ。ラオスに向けて車はメコン河沿いの国道に差し掛かってきた。
冬のタイ東北部の朝はちょっと肌寒いくらいの気温だ。暖かいメコン河の水が表面の空気を結露させ、その霧は河沿いの水田にも忍び寄ってくる。
朝の6時を過ぎるとうっすらと夜が明け始めた。その紅く染まる風景に思わずぼくは車を止め、シャッターを切った。