タイ北部の山岳少数民族たち(3)

4月はタイ系諸族にとっては、大切な月で彼らにとっての新年に当たる。ソンクラーンとよばれ、仏様やお寺ををきれいに清掃し、家族の年長者の手に水をかけお清めをし敬意を示して祝う。ちょうど日本の花祭り灌仏会)に似ているし時期的にも近い。これは偶然だろうか。


晴れと褻(ハレとケ)のハレに当たるこの日は村人にとっても待ち遠しいものであった。ささやかな、ささやかな祭りではあるが誰もが楽しみにしていた日で、あるいはこの日ばかりは無礼講となり憧れの女性に思いを打ち明けたり、村の青年にとっては別の意味でもとても重要な日でもあった。
 

実際は、そういった祭りが待ち遠しいとか楽しくてしょうがないという雰囲気もすっかり薄れてしまっていた。若者は町でもっとたくさんの同年代の若者たちと水掛けをして楽しむ。村々からは若者が町に下りてきて、そもそも職場の仲間だったりするので何族だろうと、同じタイ語でタイ国民でここぞとばかりに青春を謳歌する。村の長老たちは「時代の流れだな。しょうがないな。」といいながらも少し淋しそうだ。